今回からお店の運営改善に関する情報発信を目的に、「飲食店のお悩み解決」シリーズとしてちょっとずつ僕の会社員時代の出来事を書いていきます。
僕は昔、全国に1000ヶ所以上のお店がある会社のお店の改善提案をする部署に所属していました。なので、何か課題や問題を抱えているお店から依頼を受けると、改善のために出張するんです。
部のみんなで手分けして行っていたので全てをまわることはないのですが、その中で実際に僕が行ったのは4年間で85ヶ所ほど。北海道から九州まで場所も様々で、問題点も簡単なものから「え、こんなんどーしたらいいのw」っていう難しいものまでいろいろありました。
最初は、僕が入社して初めて手がけた長野での事例を紹介します。
それではどうぞ!
良いことも悪いこともそのまま書いちゃうよ!
飲食店を経営している方、これから始める方にきっと役に立つはず
最初の改善依頼は長野県甲府市のカフェ
お店の課題は「赤字の改善」
半年前に店長が変わってから毎月の赤字。それまでは利益も十分に出ていました。
新しい店長は、赤字の原因がわからずに困っています。
お店の情報
【場所】甲府駅から車で30分
【営業時間】11:00~21:00
【定休日】日曜・祝日
【席数】50席
【客層】近くに勤務する人たち。会社に務める女性や、工場勤務の若い男性など
【従業員数】店長1名、社員3名、短時間パート8名の計12名
【メニュー】
ランチ/日替わり定食4種、サンドイッチ、カレー、パスタなど。
ディナー/ハンバーグ、カレー、オムレツ、トンカツなど
ドリンク/コーヒー、ソフトドリンクなど。アルコールはなし。
赤字の原因は?
何が赤字の原因なのか?
まずは原因を探ってみよう!
僕は店長と一緒にパソコンにあるデータを確認し、黒字だった半年以前と赤字の先月の数字を比較してみました。
すると、
・食材ロスが増えている
・人件費が増えている
ということがわかりました。
どうやら、赤字の原因はこの3つにありそうです。
どうしてこのような状況になってしまったのでしょうか?
店舗の状況を確認
店長に話を聞いたり厨房の中を調べた結果をまとめると、以下のことがわかりました。
・社員3名のうち、調理が早いAさんがいない日は忙しい
・食材の数が多く、冷蔵庫の中はぎっしりでフル稼働している
ほうほう・・・
メニュー数が多ければお客さんも選べる楽しさが増えていいですし、どんなお店でもスタッフの力量の差はどうしても生まれてしまうもの。そして、冷蔵庫に食材がぎっしり詰まっているのもまぁよくある話ですね!
ですが、僕は上記の3つが赤字の原因と判断しました。
これらの一体なにがだめなのでしょうか。
赤字の原因と理由
問題点に対して解決策を見つけるときは、
・食材ロスが増えているのはなぜ?
・人件費が増えたのはなぜ?
という感じで、連想ゲームのように「なぜ?」を繰り返すことが大切です。
複数回繰り返すことで、だんだん細かい原因が見えてくるのです。
さっそくやってみましょう。
【状況1】 売上が落ちている
・売上が落ちたのはなぜ? →お客さんの回転率が悪い
・回転率が悪いのはなぜ? →料理の提供に時間がかかってしまっている
・提供に時間がかかるのはなぜ? →メニュー数が増えて調理の効率や動線が悪くなったから!
【状況2】 食材ロスが増えている
・ロスが増えているのはなぜ? →食材を使い切れず鮮度が落ちてしまう
・鮮度が落ちるのはなぜ? →冷蔵庫がパンパンで食材の先入れ先出しがしづらい
・冷蔵庫が使いにくいのはなぜ? →メニュー数が増えて扱う食材が増えたから!
【状況3】 人件費が増えている
・人件費が増えたのはなぜ? →調理スタッフの増員をした
・増員したのはなぜ? →調理や仕込みの人手が足りない
・人手不足なのはなぜ? →メニュー数が増えて厨房の仕事が増えてしまったから!
全部、メニュー数が増えたことが関係してるね!
このように、この店舗の場合はメニューが増えたことにより運営がうまくいかなくなってしまったことがわかります。
メニュー数が増加することで
①覚える料理が増える(=従業員のスキルの問題)
②扱う食材数が増える(=鮮度管理・仕込み増の問題)
③扱う食材量が増える(=冷蔵庫の容量の問題)
④キッチン内の動線が変わる(=効率の悪化・回転率の問題)
というように、それぞれ問題が出てしまいました。
そのため、最初に挙げた
・食材ロスが増える
・人件費が増える
といった赤字につながってしまったのです。
メニュー数を増やすのが悪い、ということではないぞ!
メニューの増やし方が重要なんだ。
メニューの数が多ければお客さんも選べる楽しさが増すため、来店理由の一つになります。
注意するべきなのはメニューの増やし方です。作業効率をしっかりと考え、やみくもに商品を増やさないことが大切です。
例えば、カレー、シチュー、スープ・・・と増やすのではなく
カレー、カツカレー、カレーセット・・・といった感じで1つの商品に幅を持たせるようにしましょう。
もちろん厨房の設備や広さ、調理スタッフの数、冷蔵庫の容量などが十分にあれば何も問題ありません。
ただし、上記の例のようにお店がうまく回らなくなってきてしまったら、メニューの見直しを考えましょう。
メニューを厳選して赤字改善!
上記の理由から、僕はレギュラーメニューや売れ行きの良いメニュー、固定客がついているメニューなどを除き、メニューの数を減らすことを提案しました。
メニューを厳選したことで、以下のことが改善できました。
赤字の原因① 人件費 →削減に成功!
メニューを厳選したことにより削減できた人件費は、以下の2つです。
1)調理時間
調理の簡略化により
調理スキルの差が生まれにくい → 毎日同じ人数で運営できるように → 無駄な人件費削減
といった流れで人件費削減に繋がりました。
2)仕込み時間
これはシンプルに
食材数が減ることにより仕込みが効率的に → 仕込み時間減少 → 人件費削減
となりました。
仕込む食材の種類が多いと、例えば人参の皮をむく・大根の皮をむく・ゴボウを洗う・じゃがいもを洗って皮をむく・・・など、下処理の回数が増えてしまいますよね。
もしじゃがいもを使わず人参で代用できるとすれば、人参の使用量は増えますが下処理は同じ工程なので時間の削減になるのです。
やったね!
赤字の原因② 売上 →増やすことに成功!
売上も、メニューを厳選したことにより改善されました。
例を挙げると、メニューには
・カレー
・ハンバーグ
・オムレツ
・トンカツ
・ハヤシライス
・シチュー
とありましたが、ちょっと似ているカレー・ハヤシライス・シチューの3つはカレーに統一。
その代わりにカレーのトッピングとしてハンバーグ・オムレツ・トンカツをメニューに追加しました。
そうすることで、料理が同時進行できるようになる→料理の提供時間が早くなる→回転率が上がるといった流れになり、売上増に繋がりました!
お客さんに満足してもらいつつ、作業工程を減らせる工夫が必要ってことだな。
赤字の原因③ 食材ロス →削減に成功!
これは、メニュー数が減ったことで冷蔵庫が整理しやすくなったことが大きな改善になりました。
在庫がわかりやすい → 先入れ先出しがしやすい・無駄な仕入れが減る → 食材ロス減
という流れですね。
また、食材の鮮度が良い状態で料理を提供できるので、お客様からの評判も良くなるという効果もありました!
部屋と一緒だね。モノがありすぎたら整理できなくなっちゃう。
まとめ
カフェの運営を改善するうえでの今回のポイントは、以下の3つでした。
②項目ごとに原因を深掘りする
③店舗に合ったメニュー数や種類を見つける
赤字の原因はもちろんメニューだけではありませんが、メニューの構成が大事だということがおわかりいただけたことと思います。
もしお店の運営がうまくいっていない場合は、上記のポイントを見直してみるのもいいかもしれません!
それではまた!
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